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「岸田さんが総理になったから1000万円」…秘書は献金を辞退し、20万円パー券を提案(東京 - 七転八起Shichitenhakki

2024/09/22 (Sun) 11:25:34

「岸田さんが総理になったから1000万円」… 秘書は献金を辞退し、20万円パー券を提案した 医療費還流の舞台裏:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/355740





 国民医療費の9割近くは保険料と税が充てられるため、特に現役世代に年々負担が重くのしかかる。医療保険制度改革は進まない一方で、医療費の一部は献金となって政界へ還流する。票とカネを媒介とした政・業のなれ合いを再び追った。(敬称略、杉谷剛)


 「寄付のお申し出をいただき、感謝申し上げます。『先日の記事』のこともありますし、何もやましいことはないのですが、少し様子を見てからと思います。少しお時間をください」
 2023年8月、全国の眼科医でつくる「日本眼科医会」(日眼医)の政治団体「日本眼科医連盟」。事務担当者は、首相の岸田文雄の秘書からそんな電話があったと、上層部に報告した。

◆医療団体と政界とのもたれ合いを追った記事に…

 連盟は東京都港区の日眼医の中にあり、執行委員長は日眼医会長の白根雅子が兼任する。連盟は2021年と22年に岸田の側へ1000万円の高額を献金。昨年もまとまった額を献金したいと伝えた。
 事務担当者の報告にあった「先日の記事」とは、2023年7月の東京新聞連載「医療の値段」だという。診療報酬改定を巡り、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」(日医連)と関連団体が2021年秋、自民党麻生派へ計5000万円という高額の献金をした問題を中心に、医療団体と政界とのもたれ合いを追った内容だった。
 連載では岸田の側にも同じ2021年秋の首相就任時に、日医連と日本眼科医連盟から各1000万円の献金があったと指摘した。この年、岸田の資金管理団体と党支部には計約2億3000万円の収入があったが、1000万円を超す献金は日医連と眼科医連盟だけと突出していた。
 昨年度は過去最高の47兆円となった医療費。その増減を左右する診療報酬改定率を最終決定する首相の側へ、多額の医療マネーが流れたことになる。




 診療報酬改定 治療や入院、調剤など医療機関や薬局が行う医療行為の値段は2年に1度改定される。全体の改定率は年末の予算編成時に決まる。2022、24年度は財務・厚生労働の両大臣折衝で決着せず、岸田首相による「首相裁定」で、いずれも本体部分がプラス改定に。2024年度は0.88%と、医療費ベースで約4300億円の増加となった。



◆「やはり総理大臣になったから、1000万円」

 眼科医連盟は政治資金収支報告書で確認できた2012年以降、2020年まで岸田の側に献金はなかった。それが2021年は、自民党幹事長代理・井上信治の側へと同じ最高の1000万円を献金した。井上は実家が有数の眼科病院で、連盟が初当選時から支援する。日眼医の関係者が言う。
 「連盟が岸田さんに献金したのは、やはり総理大臣になったから。総理だから少なくてはいけないと、それで1000万円になった」
 眼科医連盟は翌2022年12月にも再び1000万円を献金。さらに昨年も献金しようと申し出たのに対し、岸田の側は検討の末に断った。代わりに連盟に提案したとされるのが、購入者の名前を収支報告書に記載せずにすむ20万円のパーティー券だった。

◆「上限の20万円で。その方が、お互い問題がない」

 2023年夏、日本眼科医会(日眼医)の政治団体・日本眼科医連盟が首相の岸田文雄の側に、例年通り献金したいと伝えたのに対し、秘書が返事を保留してから約2カ月後のことだった。
 10月下旬、連盟の事務担当者から上層部に「岸田総理の秘書と電話で話をしました」と報告があった。それによれば、秘書は「寄付の件ですが、当面、見送りたいと思います」と献金の受領を辞退した上で、次のような提案をしたという。
 「12月に勉強会があるので、そちらに協力いただくことで、いかがでしょうか。パーティー協力ですと、20万円超の寄付者の氏名が公表されるので、その上限の20万円でいかがですか。その方が、お互いに問題がないということで」

◆献金をやめ、代わりにパー券を…

 報告を受け、眼科医連盟は岸田側への献金をやめ、代わりにパー券を買うことに。この年はすでに3、4、7月(2回)に10万円ずつ買っていたが、報告後の11月16日と27日は報告通り20万円ずつ購入した。

 2023年分の政治資金収支報告書はことし2024年11月に公開される。岸田の側は1回のパーティーで20万円までの購入者については、名前や金額を記載せずにすむ。
 連盟がパー券を購入した2023年11月は、自民党の各派閥がパーティー収入を収支報告書に少なく記載していた疑惑が発覚。12月に入ると、派閥から裏金のキックバックを受けた議員が次々と明らかになり、閣僚ら政務三役や党幹部が多数辞任する事態となった。
 「政策集団のパーティーは開催を自粛すること、年末年始の派閥の行事も自粛することを確認した」。岸田は派閥パーティーの自粛を党幹部に指示したが、個々の議員側による開催は続けられ、岸田の側も同時期にパー券を販売していたことになる。




 パーティー券購入者の公開基準 自民党派閥裏金事件では、20万円以下のパーティー券購入者名の非公開を悪用し、購入代金を「中抜き」する手口が明らかになった。政治資金規正法改正案で、自民党案は10万円超を公開としたが、公明党が5万円超を主張。自民が修正に応じた。改正法は一部の規定を除いて2026年1月から施行される。



◆岸田事務所はなぜ20万円のパー券購入を提案?

 裏金事件で問題視された20万円以下のパー券購入者名の非公開。眼科医連盟の内部報告通りなら、岸田事務所はなぜ20万円のパー券購入を提案したのか。取材を申し込むと、文書で次のような回答があった。
 「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告しているところです。ご質問の寄付や政治資金パーティーの対価も法令に従い適正に報告しているので、公表されている収支報告書をご覧下さい」
 日本眼科医連盟からも文書で「当連盟の政治資金はすべて収支報告書記載の通りです」と回答があった。

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 連載へのご意見や情報をお寄せください。メールはsugitn.g@chunichi.co.jp、ファクスは03(3593)8464、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞社会部「医療の値段」へ。


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